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CAROUSEL (回転木馬) |
解説&ストーリー
![]() ロジャース、ハマーステインの『オクラホマ!』に続くヒット・ミュージカル『回転木馬』が映画化されたのは1955年秋、翌1956年2月17日、ハリウッドの映画館グローマンズ・チャイニーズ・シアターでプレミア・ショウが行なわれ、日本には、その年の初夏、従って『オクラホマ!』よりひと足さきに『回転木馬』が公開された。 舞台の『回転木馬』は、第二次大戦も終わり近い1945年4月19日、ニューヨークのマジェステイック劇場で『オクラホマ!』と同じくシアタ・ギルドの手によって初演の幕を開けたが、この劇場は、2年前から『オクラホマ!』をロング・ランしていたセント・ジェイムズ劇場と道を隔てて向かい合った西44丁目にあり、期せずしてロジャース、ハマーステインUのミュージカルがブロードウェイに併行して続演を競うことになった。 そして『回転木馬』は1947年夏までに890回の続演を記録した後、地方公演に入ったが、このロジャース、ハマーステインUの二度目の顔合わせも、シアタ・ギルドのプロデューサー、テレーサ・ヘルパーン女史のアイデアから生まれたもので、女史は1921年に同劇団によって上演、好評だったフエレンツ・モルナールの名戯曲『リリオム』のミュージカル化を1944年に提案した。 ![]() ふたりは『リリオム』がミュージカルにするには悲劇的すぎるということから一旦は躊躇し、ほかの理由にも当時、物語の舞台のハンガリアがナチの占領下にあったということでもあった。だが、ロジャースがこの物語の舞台をアメリカのニュー・イングランドに移したらというアイディアが出たときにハマーステインUが急に乗り気になったといわれている。 ![]() 1870年代のメイン州の小さな港町とすれば綿織物工場の女工に船員や漁夫たちのコーラスも自然に使えるということもあって、はじめて二人は執筆にとりかかり、そして再びルーペン・マムーリアンの演出、アグネス・デミルの振り付けという最高スタッフによって上演された。 モルナールの原作『リリオム』は1909年、ブダペストで初演きれて以来、世界の国々で幾たびとなく上演され映画にも度々なっている。まれにみる美しい恋物語であると共に、人間の善意、宿命、生死を越えた愛の強さを詩情豊かに歌いあげたこの作品は、決してミュージカルに不向きなものではなく、原作の場所や時、登場人物の名前やストーリーの細部に加えられた変更も、原作の意図を決して傷つけてはいなかった。 ジョン・チャプマンは「最もすばらしいミュージカル・プレイであり、忘れることのできない作品である」と、ブルックス・アトキンソンは、ロジャース、ハマーステインUの「最も輝かしい作品」と評し、1945年度のニューヨーク劇評家賞をはじめ8項目のドナルドソン賞がこの作品に贈られた。 初演の配役は、実力ある新人キャストが組まれ、有名スターの名は見えないが、原作のリリオムにあたるビリーには、後に舞台と映画両方の「パジャマ・ゲーム」に主演したジョン・レイト、ユリー(ジュリー)には、「ショウ・ポート」の再演に主役をつとめたジャン・クレイトンが演じて評判を高めた。
映画は20世紀フォックスが製作し、シネマスコープ55という新方式のワイド・ネガをはじめて使用した第1回作品。 プロデューサーは『足ながおじさん』のヘンリー・エフロン、監督はベテランのヘンリー・キング。シナリオはヘンリー及びエーブ・エフロン夫妻、撮影はチャールズ・G・クラーク、音楽監督アルフレッド・ニューマン、及びケン・ダービー、振り付けはテレビ界に多くの実績をもつラッド・アレグザンダーという一流スタッフで、70ミリの『オクラホマ!』に劣らぬ鮮明な画面、舞台には求められないロケーションの効果も見逃せず、出演者をほんとうに歌える人たちによって組んでいるキャストである。 ロケーション・セットを有効に生かしたアレグザンダーの振付はアグネス・デミル女史の舞台の振り付けを尊重しながらも独創的なものがみられる。 シネマスコープは、20世紀フォックス社が開発し、第1作が1955年の『聖衣』で、より鮮明な画像を追求するために35ミリよりワイドなプリントを使った55ミリを開発し、本作品の『回転木馬』がこのシステムで撮影された。基本原理は、撮影時に特殊なカマボコ型のレンズを使って横幅が圧縮された映像を撮り、映写時には同じ原理のレンズを使って元に幅に拡大する方法である。 ![]() これによって2.35:1の非常に横長な画面を作る事が出来た。 これには、35m/mフィルムが使えるので、各社が当時競って開発したさまざまなワイド・システムの中でコスト面で急速に普及した。だが、大画面をより鮮明な映像が得られるシステムが続々と登場したことから、20世紀フォックスは、その一つであるシステムのトッドAOを採用して『オクラホマ!』を製作したが、その一方で55m/mのワイド・ネガを使う「シネマスコープ55」を開発して「回転木馬」を撮った。 当初、フランク・シナトラが、ビリーの役として撮影が開始されたが、20世紀フォックス社では、35ミリ版と55ミリ版を別々に撮影するということになって、シナトラが、同じ演技を2回しなければならことを理由に降りてしまったという。「1本の出演料で2本分働くつもりはない」と言ったとか・・。ビリーの役は歌える俳優でなくてはならず、候補にハワード・キールとゴードン・マクレーだったが、結局、マクレーに決まった。 (アメリカ映画 20世紀フォックス color cinemascope55(1*2.35) 129 min.)
![]() 回転木馬のスタンドに立つ男前の呼び込み人ビリーは、客を呼びながらも人波の中から女の子を物色、ウインクしたり、話しかけたりするが、木馬の女主人のマリンが時々嫉妬ぶかい目つきでヒリーを監視している。そこへ、綿織物工場に働いているジュリー・ジョーダン(シャーリー・ジョーンズ)が仲のいいキャリー(バーバラ・リュイック)とやって来る。彼はすかさず清純なジュリーに目をとめ彼女を木馬に乗せて何事か囁く。 マリンの目の色がかわるが、ビリーは木馬に跳び乗って次第に早く廻るメリーゴーラウンドでジュリーに寄りそう。回転木馬のワルツは高らかに演奏され、しばらくして遊園地に近い公園をそぞろ歩くジュリーとキャリーであったが、ジュリーはさっきの回転木馬のマリンの敵意に満ちた目つきよりも、ビリーにやさしくされたことですっかり上気するのであった。 キャリーはそれをみて、ジュリーのうぶな恋心を見抜いてしまう。そこへ、嫉妬ぶかいマリンと喧嘩して首になったビリーがあらわれ、キャリーは気を利かしてその場を外すが、ジュリーとビリーは仲々打ちとけないし、踊りに行こうと誘ってもうんと言わず、しかし運命の女神はふたりを結ぼうとしている。やがて、ジュリーとビリーは結婚するが、ふたりとも職を失ってしまう。しかし、やさしいジュリーの従姉ネティーの経営しているカフテリアに居候し、いよいよニュー・イングランドの春、六月が訪れ、その喜びをネティー(クララメー・ターナー)は船具や漁夫の若者たちの前で「六月は一斉に花開く」を歌い、男声コーラスやキャリーたちの掛け合いで盛り上がる。やがて船員たちや娘たちによるアクロバテックな屋外のタンス・ナンバーが始まる。 "Louise" This is Louise dancing around on the beach and her father (MacRae) has come down from heaven to see her. ある日、ジュリーから子供の生まれることを告げられたビリーは、はじめて父親になる喜びに胸をはずませ、海岸に出て、父親になる日の喜びや、それが男の子で丈夫に育って恋人ができたら、などと空想を描き、その娘のためにも自分が立派にならなければという気持ちになる。 ビリーは、生まれてくる子供のためにも稼がなくてはならない、そのためには生命がけで、と思いつめていたが、そこへジガー(キャメロン・ミッチェル)に悪事の計画が持ち込まれた。それは、間もなく町中が入江の向こうにある島に「ピクニック」に出かける日に、綿織工場のパスコム氏を襲って大金を強奪しようというもので、ビリーの役目はナイフで脅かすだけというので承知してしまった。 ![]() いよいよ「クランベイタ」(焼蛤)の集い、ピクニックの日がやってきて、人々は沖の島に出掛けるが、夜になると島の海岸で蛤や海老の蒸しやきや鍋料理が始まった。 やがて島の宝探しが始まり、その時ジガーがキャリーを口説きにかかったのを見て許婚のスノウ氏(ロバート・ラウンズヴィル)が驚いた。 ジュリーは、宝探しにビリーがジガーと組むと知って不安な気持ちになるが、また、ジガーのためにスノウ氏に誤解されそうになって悲しむ親友のキャリーを慰める。 島を一足先きに引き揚げたジガーとビリーは、計画通り波止場でパスコム氏を襲うが、先手を打たれ、失敗し、ジガーは逃げ出し、ビリーは警官に追いつめられる。ビリーは積んだ木箱の上から落ちた拍子にナイフで腹をついて昏倒し、ジュリーに抱かれながら息絶えてしまう。悲しみに茫然としているジュリーを抱くようにして従姉のネティーが、暗闇を恐れず進めば、嵐の向こうに黄金色の空が輝きひばりの声が聞こえると慰める。ビリーはこうして最愛の妻ジュリーと別れ、天国に連れてこられたのだ。 "You'll Never Walk Alone" ビリーは星の番人に一日だけ地上に行きジュリーに会うことを許され、彼が天国に来たばかりと思ったのに地上では既に15年経ち、彼とジュリーの間に生まれたルイーズが15オの美しい少女に成長していることを知る。 やがてジュリーの家の外に天使とともに降り立ったビリーは、そこに娘ルイーズの美しい姿を見出すが、今も泥棒の子とののしられている娘にせめてもの慰めにと天国から盗んできた星を彼女にやろうとする。しかし父の友人だという見知らぬ人(ビリー)から贈り物をされるのはいやだという言葉に、ビリーは思わず娘の手を打ってしまう。 ビリーは天使に頼んでその日行なわれるルイーズの卒業式を見に行くが、天国の星の番人とそっくりな来賓の老博士が「親が生きる道に失敗したからといってくじけてはいけない、皆さんは自ら進んで幸福を掴むことです。信念と勇気をもって。昔学校で私が歌ったあの歌のように・・・」と演壇に立って、ビリーがジュリーや娘のルイーズに言いたいことをいってくれる。それに応えるかのように、ジュリーと一同の人たちの清らかな勇気の歌がフィナーレとなって高らかに響き、ビリーも天使の手招きに頷いて天国に帰って行く。ジュリーとルイーズの頬にも、ビリーの顔にもはじめて微笑が浮かぶのである。
キャスト(役名) ゴードン・マックレー(Gordon MacRae)(Billy) シャーリー・ジョーンズ (Shirley Jones)(Julie) キャメロン・ミッチェル(Cameron Mitchell)(Jigger) バーバラ・リュイック (Barbara Ruick)(Carrie) クララメ・ターナー(Claramae Turner)(Cousin Nettie) ロバート・ラウンズヴィル(Robert Rounseville)(Mr. Snow) スタッフ 監督:ヘンリー・キング(Henry King) 製作:ヘンリー・エフロン(Henry Ephron ) 原作:フェレンク・モルナール(Ferenc Molnar)小説「リリオム」より 脚本:ベンジャミン・グレイザー(Benjamin Glazer) 脚色:フィービー・エフロン(Phoebe Ephron)、ヘンリー・エフロン(Henry Ephron) 作曲:リチャード・ロジャース(Richard Rodgers) 作詞・台本:オスカー・ハマースタイン2世(Oscar Hammerstein II) 音楽監修:アルフレッド・ニューマン(Alfred Newman) 指揮:アルフレッド・ニューマン(Alfred Newman ) 撮影:チャールズ・G・クラーク(Charles G. Clarke) 振付:ロッド・アレクサンダー (Rod Alexander)
フェレンク・モルナール(Ferenc Molnar)原作作品
"Ferenc Molnar"Website
ヘンリー・エフロン(Henry Ephron)製作作品
"Henry Ephron" Website "A Certain Smile"(1958)
ヘンリー・キング(Henry King)監督作品
"Henry King" Website "The Snows of Kilimanjaro"(1952) |
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フェレンク・モルナール(Ferenc Molnar)原作作品